日本酒は、米・米麹・水を発酵させて造られる醸造酒です。
この材料からどのように日本酒が造られるのか、その作業工程を説明します。
1.精米(せいまい)
玄米は、タンパク質、脂肪、無機質などを多く含み、このままだとお酒の味や香り色に悪影響が出てきます。
そのため、玄米の外側を削り取る精米(せいまい)を行います。 この精米歩合によって、造られるお酒の種類も異なってきます。大吟醸酒を造るには、50%以下になるまで精米します。
2.洗米(せんまい)
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精米の終わった白米は、多量の糖(ぬか)やゴミなどを取り除くため洗米をします。
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3.蒸す
水分を含んだ白米を甑(こしき)に入れ、蒸気で約1時間程蒸します。白米を蒸すことでデンプン組織が破壊され、麹菌などが活発に繁殖しやすくなります。
4.麹室(麹つくり)
蒸し上げられた白米を放冷機の上に広げ、麹(こうじ)菌が繁殖しやすい温度になると種麹を均一にふりかけ、温度と湿度を麹の繁殖に最適に管理された麹室(こうじむろ)に入れます。
種麹をふりかけた蒸米は、品温が下がらないように山形に盛り、布をかけて置きます。夕方、「切返し(きりかえし)」という作業を行い、麹菌の繁殖した蒸米を手でほぐし、もう一度山形に盛り布をかけ一晩寝かせます。
翌朝 切返し、自動製麹機(じどうせいきくき)に移し10cm位の厚さに均一に広げます。
5.酒母造り
麹によって糖化された蒸米をアルコールに変える時に活躍する菌が「酵母菌」です。 酒造りにおいては、純粋な酵母菌が多量に必要になります。その目的のために酒母(しゅぼ)が造られます。
よい酒母は、純粋な酵母が多量に増えていること、雑菌がいない事、乳酸が多量にあることです。
6.仕込み
酒母が出来上がると「仕込み」の工程に入ります。
酒の醪(もろみ)を造る工程の特徴は、「段仕込み」と「並行複発酵」です。
段仕込みとは、酒母に麹、蒸米、水を「添(そえ)」・「仲(なか)」・「留(とめ)」の3回に分けて仕込みます。こうすることにより酒母の酵母や乳酸が一挙に薄められずにすみます。
並行複発酵とは、蒸米のデンプンを麹が糖化させたものを、酵母がアルコールに変えていく作業のことです。
7.発酵
仕込みが終わると、醪の管理は専ら温度管理となり、朝夕2回の櫂入れと検温は欠かすことのできない作業です。朝の櫂入れ時に醪の濾液(ろえき)を採り、日本酒度、アルコール、酸度等の分析を行います。
8.搾り
発酵が終わると醪を搾り清酒と粕(かす)に分離します。ここの作業工程を上槽(じょうそう)といいます。上槽は自動搾り機で行い、新酒と酒粕に分離します。
9.濾過・熟成
搾り終えた酒は、濾過(ろか)をします。透明になった清酒にも酸素や酵母、細菌類が残っており、これを失活させるため、65度で火入れを行います。
火入れが終わると、酒質の安定をはかり熟成を待ちます。 適度に熟成した酒から順次ビン詰めし、皆様のお手元に出荷となります。
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